「シノーラ」

物語は西部の町シノーラで、ジョー・キッド(クリント・イーストウッド)が留置場に入れられているところから始まります。暴れたのでベッドに手錠でつながれている。朝食のときコーヒーに手を伸ばすと、同室のナコ(ペペ・キャラハン)という男に意地悪されたため、裁判所に連れ出される前に鍋で殴って仕返しをします。ジョーは10日間の留置か罰金10ドルかという判決で、10日間を選びます。

そこへ、ジョーの前の裁判で、土地の所有権を争っていたメキシコ系住民を支援するルイス・チャーマ(ジョン・サクソン)の一行がやってきて、先住民として土地の所有権を主張して判事を拉致しようとする。ジョーは判事を助けますが、チャーマ一行を追う追っ手には加わらないという展開です。

もともと先住民に土地所有の概念がなく、他人と共に使用するという前提があった世界に、ヨーロッパから移住してきた連中が権利証というものを持ち出して所有権を主張し始めたわけです。チャーマによると、スペイン国王から所有者として認定された時期もあったらしいです。その書類は白人に好都合なように“火事で消失”しているわけです。認定されなくても所有権の概念がないわけで、認定なんて帝国主義的侵略でしかありません。

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「荒野の七人」

この映画、タイトルバックがスチールショットから始まりますが、MPAAナンバーが出るあたりから動き始めて盗賊たちが村に来ます。

盗賊や村人たちのBGMは「七人の侍」のメロディーへのオマージュです。

長老は“侍、雇うだ”ではなく“銃を買え”と村人の代表3人を送り出し、3人はある町で先住民の埋葬トラブルにでくわします。埋葬費用を出したセールスマンの年が上の方がバル・エイブリー。ジョン・カサベテスの「フェイセズ」などに出ています。“ウィミンズ・クローズ”を扱うと言ってましたが、それで“婦人下着”なんですね。←字幕。葬儀を断る葬儀屋がホイット・ビッセル。なんか福島県産の花火を使用中止にした花火大会を思い出しました。

そこでクリス(ユル・ブリンナー)とヴィン(スティーブ・マックイーン)が葬儀馬車の護衛を買って出る。駅馬車の護衛から散弾銃を借り受けたヴィンが、弾を耳元で振って湿っていないかどうか確認したり、帽子を使って日差しと風向きを確かめます。このときクリスは、悠然と葉巻に火をつけるわけですが、そのせっかくの場面をマックイーンがさらってしまった。ほかにも幾つかそういう場面があって、ユル・ブリンナーとマックイーンが険悪になったと聞いています。

映画「恋人たち」

物語は、ブルゴーニュ地方のディジョンに住む地方新聞社主の妻ジャンヌ(ジャンヌ・モロー)が、自分に関心を示さない夫(アラン・キュニー)との暮らしは嫌と、パリの友達マギー(ユディット・マルジュ)のところへ頻繁に遊びに行きます。そしてポロ選手でスペイン人のラウル(ホセ・ルイ・ド・ビラロンガ)と恋をします。

それに気づいた夫は、マギーとラウルを家に呼べと命じます。そのことを告げにマギー宅を訪れたジャンヌは、帰路車が故障し、シトロエンに乗った考古学者の車に乗せてもらう、という展開です。

冒頭ナレーションが入るのですが、これがジャンヌ・モローの声だと思うのにジャンヌに対して第三者的な解説をするため混乱しました。それと切手サイズの画面で、いささかノリが悪いスタートでしたが、1時間ほどして考古学者とジャンヌが屋敷の外へ出て行くあたりからが圧倒的でした。

手にしたタンブラーがふれあい、その済んだガラスの衝撃音が柔らかくエコーするところが抜群。そこからは、ただ二人が歩いたりボートに乗るだけなのに、恋愛感情が手に取るように伝わる。すごい映画です。ネタバレですけど、終盤に夫や友人、そして愛人が見つめる中、ふたりが手に手をとって家をあとにするという場面なんか、ちょっと僕には想像できないシーンでした。あっけにとられたわけです。

「五月のミル」

1968年、“五月革命”にわくフランスで、ミル(ミシェル・ピッコリ)は老いた母親と生家で暮らしています。

その母親が死んでしまい、弟ジョルジュ(ミシェル・デュショッソワ)と妹(ずっと昔に死亡)の娘クレール(ドミニク・ブラン)、そして自分の娘カミーユ(ミウ・ミウ)らが、それぞれ家族を連れて集まります。旧家でいちおう資産家に属する一家は、しかし遺産を分けるには売りさばくしかない。家を売ることにミルは反対しますが、娘カミーユや弟たちは売って遺産の分割を主張する。そこへ五月革命にあおられたストの拡大などで、本当に革命が起こると感じた一行は、家を捨てて近くの森をさまよう、という展開です。

アメリカでのタイトルが四月バカならぬ“五月バカ”なので、シニカルなコメディーだといえるでしょう。タッチとしてはコメディーという雰囲気ではありませんが。カミーユの娘フランソワーズが、祖父のミルを慕っていて、これがいい感じでした。ミウ・ミウの実の娘らしいです。